10月24日(金)、高校2年生は11月に控えた沖縄修学旅行に向けて、戦争や平和について考え、実感することを目的とした校内学習を実施しました。
最初のプログラムは「国民が経験した戦中・戦後の生活に係る歴史的資料や情報を収集・保存・展示し、国民生活上の労苦を次世代の人々に伝えてくださっている施設である「昭和館」から語り部さんを派遣いただき、戦中に生徒と同世代の子どもたちがどのような苦労をせざるを得なかったか、「戦災孤児」をテーマにした講話をお話いただきました。
戦争中に図らずも孤児となってしまった子どもたちの過酷な日常はお話を聴かせていただいても胸が痛くなるようなものでした。多くの苦労を強いられても力強く生き抜いた子どもたちの実体験から生徒たちは様々なメッセージを受け取っていたようでした。つらい現状にも負けず、目標を達成しようと頑張ったセイちゃんのお話、またその生き様は生徒たちの心に強く響いていたようです。多くの記録が残っていない戦争孤児になられた方々のお話をうかがう貴重な機会をいただきました。
語り部さんのお話に続いて、DVD鑑賞の時間を持ちました。平和な世界を目指して、戦争の実情をしっかり学ぶための最適な作品であろうと「さとうきび畑の唄」を(舞台は沖縄です)鑑賞しました。いかに幸せな日常を、また未来がある人々の何にも代えがたい命を、戦争によって奪われなくてはいけなかったのか、作品を通して生徒たちはしっかりと受け止め、考える時間を持ってくれたように思います。
第二次世界大戦下の沖縄で戦争という大きな波に飲み込まれそうになりながら、必死に(そのような情勢の中でも明るく)生きた家族の姿から、生徒たちは戦争というものが持つ本質を理解し、多くの疑問を持ったり、不条理な時代の中を生きる息苦しさを感じたりしてくれたようでした。作品世界に引き込まれながら、自分たちがこれから訪れる沖縄が美しい自然が広がる中に、数々の魂が眠る日本で唯一の地上戦が行われた場所であるという重みを実感してくれていたようです。
午後は新聞特集記事から戦争を知るという時間を設けました。「読売中高生新聞」の「沖縄戦」の特集記事、また「知る沖縄戦(朝日新聞社)」を読み、どのような戦争の真実を知ることができたか、またその事象についてどのように考えたか、自分の中に落とし込む時間を持ちました。沖縄戦でどのくらいの人が命を落とさなければならなかったのか、自決という道をなぜ多くの人が選択せざるを得なかったのか、という特集記事や、ひめゆり学徒隊としての体験談などに目を通し、その現実をしっかりと理解してくれたように思います。しおりの感想を書き上げ、充実した1日の学習を終えました。校内学習を通して学んだことを、実際に現地に行って更に深く理解することにつなげていきたいと思っています。
【生徒たちの感想】
・本日、学ぶことができた一つひとつの戦争や空襲といった歴史の上に、私たちの今の生活があるということを強く実感しました。
・私は語り部の方の話を聴き、自分たちが日々当たり前だと思っていることが当たり前ではないし、私たちの生きている日本でこのようなことがあったことをしっかりと理解していきたいなと思いました。
・私たちがこの講演を通して学んだこと思ったことを、これからも伝え続けていかなければならないと考えます。戦争で問題は解決しない、という重い言葉に共感しました。
・今、こうやって家族もいて、学校に行けているということがどれほど幸せなことなのか、実感しました。
・戦争の中では家族が当たり前のように離れ離れになってしまうのだなと感じました。昨日まで当たり前だと思っていた日常がこんなに簡単に崩れてしまうことに気づかされました。
・今回「さとうきび畑の唄」を鑑賞して、現在の私たちの生活がどれだけ幸せなのか、今を大切に生きるという強いメッセージを感じ取りました。
・戦争の洗脳教育というものについて考えさせられました。心と体に大きな傷を負うだけの戦争は絶対にやめなければいけないと再認識しました。自分のこれからの進路に関わってくる分野であるので、目を背けず向き合っていきたいと思いました。
・沖縄というと明るい観光地、というイメージであったけれど、今回の学習を通じて、悲しい歴史を経験し、それを乗り越えた中で培われた明るい大地であるということに気づかされました。
・新聞の記事には戦争が終わってもなお残る人々の心に残っている爪痕について書かれた記事がありました。沖縄戦で自分の家族が亡くなってしまった人は半数以上になるそうです。様々な立場の人たちがそれぞれの立場でつらく苦しい思いを抱えながら生きている。その心情に触れて、悲しく切ない気持ちになりました。終わってもまだ人々の心を傷つけていると思うと戦争はいろいろなものを壊しすぎだと思いました。
・私たちはもうすぐ沖縄に行きます。戦争が行われた場所で、その戦争で多くの人の命が失われたという事実を知りました。せっかく沖縄に行くのであれば、もっと沖縄戦について学んでから行きたいと思いました。
・この沖縄戦の歴史について知ることで、改めて命の重みを知るきっかけになったと思います。亡くなった20万人以上の人々はもちろん、周りの人が亡くなれば悲しいのと同じように、全ての人に家族がいて、友達がいて、大切な人がいます。その悲しみを知ることで、私たちも人生において生きること、周りの人をもっともっと大切にしていきたいなと思いました。
